乙川優三郎 の 霧の橋

★3.5 再読、1997年3月作品、第7回時代小説大賞
初期の作品で、話の展開にぎこちなさを感じる部分や、説明不足の点もあるが、文章の丁寧さは変わらない。

父は一関藩3万石の藩士で、料理屋の女将・紗綾を後添いにと考えていた。だがその料理屋で、気の合う同僚と揉め、切り合いで命を落とした。二男の江坂与惣次は仇討の旅に出、10年後に運よく仇を討つことができた。だが、国許へ帰ると跡を継いだ兄は汚職の罪で命を落とし、与惣次も追放処分になった。江戸へ出た与惣次を拾ってくれたのは紅を製造販売する紅屋の主。年の離れたむすめ・おいとの婿となり紅の商売に励むことに。