母、その存在の美しさと哀しみ

  五月の第二日曜日は「母の日」である。
日頃の母の労をねぎらい母への感謝を表す日。
私にとっては母の存在を喜びながらも、奇しくも
母を偲ぶメモリアルデーの月にもなった。

 私が母を見送ったのは一年で一番美しい季節
百花繚乱の彩りに滴り落ちる若葉が脇役を添える
五月だった。

 あれから十七年、夥しい時間が流れた。
忘れるともなく忘れていた自分の迂闊さが心許ない。

 でも、ひとたび記憶の輪が廻り始めるとそれは間断
なく途切れることがなく私の脳裏を駆け巡る。

 当時、母は実家で姉家族と同居していて特別重い病気
ではなかったけど日々老いていくのが哀しい