海原を滑るが如くヨット行く

 

 花火果てしじまの底に峡の里  佐治奈津

 暫くは花火の匂ふ山の霧  吉田島江

 縁に父母在して昭和の庭花火  佐藤史づ代

 小雨なか花火の星のしたたれり  柴野静

 音がしてやつぱり花火見たくなる  安居正浩

 箱詰の桃挨拶は抜きにして  井上菜摘子

 白桃の包まれてある丸さかな  雨村敏子

 夕闇に作なき畑の花茗荷  石原健二

 酢に浮ぶ茗荷は花を付けたまま  瀬川公馨

 紫にあらず桔梗のききゃういろ  窪田佳津子

 桔梗咲く磐梯高原目指す道 アロマ

 夏桔梗活けられてゐる座敷かな  白石正躬