連載:妄想爺やの春夏秋冬4

野良猫の背の歩みゆく長き夜 秋の夜長の街なか

実りの秋は、食欲の秋、行楽の秋へと人を誘う

そろそろ、山深き地から紅葉の兆しが見え始めているようだ

暖かい地から移りゆく桜前線とは逆の紅葉前線だ

拙句一句

野良猫の
背の歩みゆく
長き夜

日が暮れるのが早くなってきた

暗くなった街なかを歩いていると、野良猫に遭遇することがある

人懐こい野良猫もいて、こちらが近づくと、顔を向けて物欲しげに甘えるような鳴き声で、僕を見つめてきたりする

また、警戒心の強い野良猫は、僕との距離を縮めまいと、足ばやに離れていく

猫の背が暗闇に失せてしまう

野良猫らを見ていると、逞しげにも、淋しげにも見える