連載:おとなの絵本

「靴の石ころ」

 
 靴の中に石ころが入っていた。
 一歩、歩いて地面を踏むと、足の右側で、ぎゅっ。
 また少し歩いていると、今度は前のほうで、ぎゅっ。
 てくてくてくてく歩くたびに、石ころはあちこち移動する。
 あはは、まるでランダム足つぼマッサージだ。
 次はどこに転がるかなあ。

 いつものバス停に着いたけど、今朝はもう少し歩きましょ。

<おまけ>
 ばたばた仕事を終えて、帰り道。
 石ころがなくなってるのに気がついた。
 ちょっと寂しくなった。
 下を向いて歩いた。
 石ころをゆっくり見たのは、はじめてだ。
 小さいのやら、とがったのやら……
 みんないろんな