宵闇に紅葉浮き立ち秋惜しむ



 秋惜む色を揃へて植木市  稲畑廣太郎

 突堤の先端に立ち秋惜しむ  定梶じょう

 十九時の鞍馬の駅に秋惜しむ  飛鳥由紀

 宵闇に紅葉浮き立ち秋惜しむ  アロマ 

 芋菓子を買うて小江戸の秋惜しむ  木暮剛平

 干して濃き鱲子(ぼら)の朱と秋惜しむ  安藤しおん

 野の風を聞きし五感に秋惜む  稲畑廣太郎

 秋惜しむ膳に豪快浜料理  安藤和歌子

 秋惜しみ信州蕎麦を昼も夜も  山内なつみ

 秋惜しむ宇治十帖を読み返し  山下佳子

 秋惜む安倍川餅のやはらかし  大西八洲雄

 石焼の男鹿の魚食み秋惜しむ  福