冬晴や海を遠見の坂の家 黒滝志麻子
冬晴れの比叡や八十路に鐘一打 布川孝子
冬晴れや海は紺碧日は麗 アロマ
冬晴れの信濃追分駅に着く 藤井美晴
冬晴へ棟上げの餅放り上ぐ 小原芙美子
冬晴やコロコロ駆ける下校の子 芝宮須磨子
寒鮃三和土に跳ねて耀糶られけり 田崎ひろこ
空襲の伏せのかたちに鮃ゐる 田中芳夫
飛火野の闇一枚の夜寒かな 山田弘子
ロンドンの古書街を行く夜寒かな 保田英太郎
センサーで街灯ともる夜寒かな 辻田明
姨捨の田ごと夜寒の汽笛かな 小宮山勇