艶やかな潤目鰯に手を伸ばす



 山の人朝から潤目鰯かな  加藤青女

 ひとはだの酒一合にうるめ焼く  高橋和枝

 立ち呑みのうるめ三匹あれば足る  南うみを

 干物屋に焼かるるうるめ土肥港  秋山信行

 薄日差す小さき漁港うるめ干す  成田美代

 とれすぎの潤目鰯に値のつかず  武政礼子

 帰省して潤目鰯 に舌鼓  アロマ

 あをあをと海の日に干す潤目かな  田崎凛

 潤目干す浜に浮世絵美術館  石原義輝

 艶やかな潤目鰯に手を伸ばす アロマ

 煮凝りの揺るるは都電過ぎにけり  根橋宏次

 煮凝りや夜の静寂をとぢ込めて  金田誠子