冬の沢歩きで

 今と違って50数年前の冬は寒かった。奥秩父で1月下旬の朝方で氷点下13度を計測したことがある。当然滝は凍る。滝どころか上部に行くと水線そのものが全面結氷し、アイゼンがビシビシ利き、気持ちよく登れる。

 ある年の1月下旬、奥秩父の小常木谷(こつねぎだに)に会の先輩達と行った。出合いから凍っていて水線、滝がアイスバイル、アイゼンで快適に登れる。こんなにアイゼンが利くのかと、感動しながら「じゃあアイゼンなしだとどんな塩梅なんだんべ?」と、アイゼンを外して二、三歩歩いたら薄氷を踏み抜き、ものの見事に浅い水流に片足が落ちてしまった。

「冷てえ!!」そ