おうい雲よ   ゆうゆうと  馬鹿にのんきそうじゃないか

 雲

         丘の上で
         としよりと
         こどもと
         うっとりと雲を
         ながめている



           おなじく

         おうい雲よ
         ゆうゆうと
         馬鹿にのんきそうじゃないか
         どこまでゆくんだ
         ずっと磐城平の方までゆくんか



           ある時

         雲もまた自分のようだ
         自分のように
         すっかり途方にくれているのだ
         あまりにあまりにひろすぎる
         涯のない蒼空なので
         おう老子よ
         こんなときだ
         にこにことして
         ひょっこりとでてきませんか

山村暮鳥の詩集『雲』より


梅雨晴れ、青い空。
ぽっかり浮かんだ雲。

ゆうゆうと故郷の方へ

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