亀戸散歩 ー 秋の花めぐり ー

酔芙蓉(亀戸天神)

「蚊帳の中から花を見る 咲いてはかない酔芙蓉
若い日の美しい私を抱いてほしかった
忍び合う恋 風の盆」   (なかにし礼詞)

今から33年前の秋、何の気なしに見ていたのがNHKのテレビドラマ「風の盆恋歌」だった。佐藤慶と加賀まりこを中心とする朗読を、風の盆の高い澄んだ唄声、哀調を帯びた胡弓と三味線、太鼓そして囃子とともに全編女踊り、男踊りが流れ続けた。大人の恋愛ドラマが今でも強く印象に残っている。
高橋治の「風の盆恋歌」が原作。その中で酔芙蓉についての一節がある。
「朝の中は白いのですが、昼下がりから酔い始めたように色づいて、夕暮れにはすっかり赤くなります。」
「で、酔った揚句がどうなります」
「散りますな」
「酔って散るのですか」
「一日きりの命の花です」
和歌が載る。
「夕されば 酔ひて散り行く 芙蓉花に
わが行末を 重ねてぞ見る」
以降、酔芙蓉を見るたびに佐藤慶と加賀まりこの声が少しづつ朧げになりながらも聞こえてくる。

※ 日記「亀戸散歩」も投稿しました。お時間があったら   
  お読みください
   https://smcb.jp/diaries/8623775

コメント