亀戸散歩 ー 秋の花めぐり ー

萩と薄(龍眼寺)

萩すすき紅さすための薬指(黛まどか)

写真の穂は薄と同じイネ科の「荻(おぎ)」かもしれない。薄とは違う気がするが仏像のような半眼で見てほしい。
萩と薄では季重なりでは、なんて野暮を言ってはいけないそうだ。この2つがあるからこそ秋の風情が濃くなるのだから。
黛まどか、美人だ。1962年生まれというからまだお若い。俵万智さんが現在の歌壇を代表する女流歌人だとすれば、俳壇ではこの黛まどかさんだろう。
薬指を紅差し指ともいう。昭和初めに描かれた鳥井言人の「口紅」を思い浮かべる。何とも艶めかしい雰囲気が。

若輩の身、ある宴の末席をけがした頃、傍に着いた若くはない芸者さんが薬指の話を。
「紅を薬指で塗るのよ。横には塗らないの。縦にポンポンというように。それの方が長持ちするの。なぜ薬指を使うか知らないでしょ。両手を出してごらんなさい」両手をグーを作らせ白魚とはいかぬ手で私の手首を強く抑える「両方の親指を出してごらんなさい。親指同士を離して。そう離れるでしょ」次に人差し指、さらに中指と。それぞれ離れる。「じゃあね。薬指」これが離れないのだ「わかった?馴染みの殿方を思って薬指で差すんですよ。離れないようにってね。婚約指輪とか結婚指輪も同じよ。あなたも私から離れないように偉くなってね」本当かどうか・・・
それきり会うことのないまま今日まで。

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