秋の高幡不動 ー紅葉と黄葉ー (コミュのオフ会で)

小さき鳥とお地蔵さん

うしろで優雅な、低い話声がする。
ふりかえると人はいなくて温顔な石仏三体
ふっと口をつぐんでしまわれた。
秋があまりに静かなので 
石仏であることをお忘れになって
お話などなさったらしい。
そこだけ不思議なほど明るく枯草が、こまかく揺れている
            (吉野弘「石仏―晩秋」)

イチョウの大木の回りは笹などの下草に覆われている。陽が届かぬ中で枯れることなく深い緑色が地を隠している。ところどころに彩色を施すように「小さき鳥の形」のイチョウの葉が載っている。
何気なく振り向くと下草を纏うように小さなお地蔵さんが赤い毛糸の涎掛けをして座っておられた。3体ではなく1体。掌に1枚のイチョウの葉を持っていた。もしかしたら葉っぱと話していたのかもしれない。多分私が来る前に、高い可愛い声で・・・。

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