秋の高幡不動 ー紅葉と黄葉ー (コミュのオフ会で)

大師堂扁額

「めづらしと我が思ふ君は 秋山の 初黄葉(はつもみちば)に 似てこそありけれ」
(長忌寸娘(ながのいみきのおとめ) 万葉集巻8-1584)

大師堂といえば真言宗のお寺では開祖、空海 弘法大師を祀るお堂がほとんどであろう。
高幡不動も弘法大師を祀っている。この堂に掛かるもみじを拝した姿が好きだ。左手を見ると五重塔が、右手の坂道を上ると本堂である大日堂に続く。
なぜか、ここへ訪れるときは陽が落ち始める残照の中に立っている。
長忌寸娘の歌は天平10年、時の権力者、橘諸兄が右大臣に昇進したのを祝して、子の奈良麻呂が主催した時に詠まれた歌の一首。祝歌だろう。
大師堂の前に来るとつい余計なことを思い出す。
空海と兵庫県西宮市にある神呪寺(かんのうじ)の開基、淳和天皇の第4后の如意尼(真名井御前)との恋愛譚といっても史実かどうかわからない。
月海千峰さんという方の説。
空海は京都の頂法寺六角堂で修行中の厳子(後の如意尼)と最初に出会った。年令は29も離れてはいたが、空海は由緒のある海部家(あまべけ)の姫厳子を敬愛し、厳子も有名な空海に関心と尊敬をいだき、お互いに惹かれあっていった。如意尼がこの歌を知っていたりして。
序に良寛さんと貞心尼も重ねて・・・。
俗塵の衣を纏った男の思いを大師堂の中で弘法大師は苦笑いをしているか、それとも怒髪天を突いているか、どちらだろう。

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