花菖蒲 余滴八話(オフ会・堀切菖蒲園)

古希の色

「老いて今ひろったちさき恋の花
  有効期限すぎぬまに咲け」(佐藤 愛 86歳)

「人生七十古来稀」と中国の詩人杜甫の「曲江」から数えか満の70歳で長寿を祝う風習は奈良時代から続いている。今ならさしずめ「人生百歳古来稀」とでも言い直さねばならないだろう。
和田秀樹さんが書いた「80歳の壁」がよく売れているという。
古希は棒高跳の競技に喩えれば80歳の壁というバーを越えるためポールを高々と掲げ助走路のスタートラインにすっくと立った時だろう。
私なぞ助走路をよたよたとポールも重たげにそして今、ポールを立てて壁を越えようと我が身を預けている時。
和田さんは言う。「もちろん「したいこと」はエロティックなものだけではありませんし、男性に限った話でもありません。楽しいとか「面白そうだな」と思うなら、自分にブレーキをかけず、どんどんやってみたらいいのです。」

人を魅了誘惑する様な色気を持った官能的な色があるとするならそれは紫色がもっともそれにふさわしい色だとおっしゃる色彩学の専門家の一人が言っている。
和田さんの話、色彩学の専門家そして歌の作者を思いながら、この花菖蒲に「古希の色」と命名したのもむべなるかな、と。いや「傘寿の色」の方が良いかもしれない。

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