紅葉六態(柏・観音寺)

琴の糸

琴糸に白繭の冷こもるなり(吉野義子)

「枝垂れモミジは琴の糸のように繊細でね。それが良い」と友人が教えてくれた。
邦楽器の糸の多くは滋賀県木之本町で作られていると聞く。賤ケ岳の麓で山の雪解け水を使い、春繭だけを用い昔からの座繰器で糸を縒り合わせて作るという琴の糸。
ふと思い出すのは水上勉の悲恋小説「湖の琴」で文中に「「余呉に大音、西山の二村あり。古くから繭をとり、糸を紡ぎ、之これを絃糸(げんし)となす。国中の琴糸、琵琶糸、三味線糸の大半を生産せり」を引用している。
友人更に曰く「その辺りで作られた糸を「伊香具糸」と言うんだ。いい糸だぞ。枝垂れモミジは自然が縒り上げた伊香具糸なんだ」
「オレ?琴が弾けるわけないだろ。耳学問だよ」

※日記「柏散歩」も合わせ投稿しました。お時間があったらご笑読の程を。

https://smcb.jp/diaries/8936554

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