紅葉六態(柏・観音寺)

紅葉狩

鬼の寝た穴よ朝から秋の暮(小林一茶)

「下紅葉夜の間の露や染めつらん 夜の間の露や染めつらん 朝の原は昨日より。色深き紅を分け行く方の山深み・・・」能・「紅葉狩」の一節。一夜のうちに紅葉の濃さを増すと謡う。
戸隠の山中、上臈らしき美女と紅葉色の衣装を着けた侍女ら数人が紅葉狩りの宴、そこへ通りかかった武士は誘われるままに盃を重ね、寝入ってしまう。美女変じて鬼女として現れ、殺そうとする。鼓、笛による4拍子の激しい演奏の中、気づいた武士と鬼女の大立ち回り。
打ち果たされた鬼女は戸隠の鬼であった。その鬼女の名は「紅葉」享年33歳と伝説が長野県地方に多くあるそうだ。
一茶もまた「紅葉」が住んでいた洞窟を訪れたのだろう。もしかしたら暗い洞窟の辺りは妖しい艶を含んだ紅葉が盛りだったのかもしれない。

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