紅葉六態(柏・観音寺)

夕紅葉

仮の世の鬼女ともなれず紅葉狩(三橋迪子)

詠者の三橋迪子さんがどのような方なのか知らない。三橋鷹女と縁がある人なのかと思ってしまう。同姓でもあり、鷹女の膾炙している「この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」への返句のように思えてしまうのだ。鷹女は「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり」とか「鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし」のように烈しい自我、近づいたらぴしゃりとやられそう。こうはっきり言われたら二の句が継げない。きっと会ったら腰が引けていただろう。
そこへいくと迪子さん、「鬼女ともなれず」と。「ならず」という自己主張はなく「なれず」と心の中の忸怩たる思いが溢れている。腰が引けるどころか身を乗り出して「どうしました?」なんてひ弱な男でも助平心が湧き出そう。鬼女のいないモミジの木、安心して眺めていられる。

※日記「柏散歩」を投稿しました。お時間があったらご笑読ください。
https://smcb.jp/diaries/8936554

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