鯉跳ねる音を聞きをり藤の花 　赤松弘光 　縄電車停車す藤の花かげに　 増田富子 　藤の花臈たけいよよ麗しく　　アロマ 　届かない恋の駆け引き藤の花 　甲田夏湖 　小さき風大きく見せて藤の花　 吉村春風子 　山の背に朝日射しをり藤の花　 梅田秀子 　山藤は高き樹の上閃いて　アロマ 　吹き降りの旅にありけり藤の花 　武井美代子 　杣道の谷へなだれし藤の花 　久保木千…

　春風に藤棚の花舞い踊る　　アロマ 　式終へし子等春風へ放たれぬ 　山田禮子 　計画に添へば春風おのづから 　稲畑汀子 　春風を従え花園迷宮へ　　アロマ 　竹の春風もきららに流れけり 　斉藤利雄 　春風が押しゆくごとし乳母車　 林翔 　春風につられ歩けば膝笑ふ 　岡部三和江 　春風が運んでくれし便りかな　 宮倉浅子 　春風の香りに浸る午後三時　　アロマ 　春風…

　ホテルあり木槿づたひにグリルあり 　京極杞陽 　あやめ咲く料亭の口斜めに入る 　長谷川かな女 花 季 　バラライカ爪弾く霜夜のレストラン　 河村凌子 　雨の蕎麦屋に濤の寄りくる音すなり 　阿部完市 　街の甘味処で見るテレビ　　アロマ 　回転焼きを食べ「霧の摩周湖」を聞く　　アロマ 　機帆船のごとし七月飯屋あり 　小木ひろ子 　蕎麦待つ間蕎麦屋の鉢植え岩煙草　 高澤良一 暮津 　…