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よくあるご質問

「時代小説」の日記一覧

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乙川優三郎 の 椿山

★3.4 初期の作品で、市井ものの短編2編「ゆすらうめ」「白い月」と、武家ものの短編1編「花の顔」と中編「椿山」1編。強烈に印象の残るものがなく残念。 「ゆすらうめ」江戸から離れた所で土地の金持ちが営む女郎屋。女将として使われる姉を手伝う孝助。孝助は6年年季の70両で売られたおたかという女の年季明けの後に己の運命を賭けるが。 「白い月」おとよは病の母も引き取ってくれた飾り職の友蔵と所帯を持っ…

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嶋津義忠 の 起返(おきかえり)の記 宝永富士山大噴火

★3.5 新田次郎の「怒る富士」と同じ宝永富士山大噴火がテーマで、政権の無策ぶりとそれに立ち向かう住民の奮闘を描く。こちらは宝永4年(1707年)11月から噴火後の18年間、将軍も5代綱吉から8代吉宗までと長期に渡って描いている。 関東郡代・伊奈忠順は被災地の農民救済に尽力し、幕府の駿府の蔵から五千俵の米を独断で放出した責任で切腹したとの伝承があるが、こちらは4年後に病没した説をとっている…

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乙川優三郎 の 霧の橋

★3.5 再読、1997年3月作品、第7回時代小説大賞 初期の作品で、話の展開にぎこちなさを感じる部分や、説明不足の点もあるが、文章の丁寧さは変わらない。 父は一関藩3万石の藩士で、料理屋の女将・紗綾を後添いにと考えていた。だがその料理屋で、気の合う同僚と揉め、切り合いで命を落とした。二男の江坂与惣次は仇討の旅に出、10年後に運よく仇を討つことができた。だが、国許へ帰ると跡を継いだ兄は汚職の罪…

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青山文平 の 泳ぐ者

★3.7 「半席」の続編。時代は文化8年(1811年)片岡直人は27歳である、文化魯寇やフェートン号事件が尾を引いている。この年ゴロウニンの抑留事件も。 目付の中にも海防担当が設けられそちらへの引き抜きの話や、前作での勘定所からの引き抜きの話もぶり返すが、いずれも断り徒目付を励み場とする意志は変わらない。また、謎の浪人・沢田源内も登場し智恵を借りる場面もある。前作は6つの連作だったが、今回は連…

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杉本苑子 の 散華―紫式部の生涯〈上下〉

〈上巻〉★3.3 紫式部(小市)が7歳から27歳まで。  小市と姉の大市9歳、弟の薬師麿5歳の3人は父が播磨の国府の役人であったためその地で生まれた。母は既に亡くなっている。物語は7歳の小市が父に伴われ京極の古屋敷に帰ってきたところから始まる。曾祖父・藤原兼輔が建てたという屋敷は寝殿造りで母屋、北の対、東の対、西の対とある。屋敷には長兄(小市の伯父)の藤原為頼一家、次兄の為長一家、そして父である…

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諸田玲子 の しのぶ恋  浮世七景

★3.3 7つの浮世絵をタイトルとする短編。 「太鼓橋雪景色」は安藤広重の「目黒太鼓橋夕日の岡」。 〈蛮社の獄〉にからむ医者の若者との恋を、〈桜田門外の変〉を聞いて思い出すある藩士の妻。 「暫の闇」は歌川国政の「五代目市川團十郎の暫」。 五代目團十郎から鰕臓を名乗った芝居に熱狂する男にからむ絵師の歌川国政も芝居好きだった。 「夜雨」は歌川国貞の「集女八景粛祥湘夜雨」。 雨の夜に用事で出歩く…

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岩室忍 の 信長の軍師 巻の二 風雲編

★3.3 この巻は天文14年(1545年)利政の正妻・小見の方と11歳の娘・帰蝶が崇福寺に詣でるところから。薙刀の帰蝶と対した沢彦は才色兼備の帰蝶こそ駿、相、甲の3国同盟に対抗する切り札だと確信する。この時、吉法師は12歳。 この巻の興味は吉法師が鉄砲に異常な興味を示し、新たな戦法として密かに鉄砲隊と3間槍隊を編成しその訓練に明け暮れすること。 最後は、桶狭間の戦いで織田軍勝利に終わる。面白…

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岩井三四二 の 田中家の三十二万石

★3.4 近江国浅井郡三川村の百姓から筑後32万石の大大名になった田中久兵衛吉政の生涯。前半の泥臭い話が面白い。この作家の得意なところでもある。 物語は久兵衛の16歳から始まる。僅かの田を耕すも、ほとんどを年貢にとられてやっと一家が生きている状態に見切りをつけて武士になろうと決断する久兵衛。 徐々に頭角を現す久兵衛は、秀吉の小谷城攻めでその傘下に。以後は秀次時代の家老職、関ヶ原の東軍選択と窮…

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夏山かほる の 源氏五十五帖

★3.2 源氏物語に幻の55帖が存在すると調査を命じられた菅原孝標の娘・更級(更級日記の作者)は紫式部の娘・賢子と信濃に向う。 途中で道長の息子・能信も合流するが、信濃にはあの清少納言がいた。本当に存在するのか、何故世に出なかったのか。その内容は・・。物語はミステリー調に進む。 途中で、道長に都合の悪い内容だという憶測や、定子の娘・一品宮の一条帝の遺言だとする思い込みが物語に交錯する。 残…

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乙川優三郎 の 屋烏(おくう)

★3.5 小藩を舞台とした武家もの5編。いずれも、人の気持ちのありようを繊細に描く。最後はほっこりした話で終るのもいい。 「禿松(かぶろまつ)」若いながら髪の薄くなり禿松とよばれる30石の男は、上士の家からきた嫁に気を使いながら、藩内抗争に引き込まれるが、昔の許嫁だった女のことがずっと気になり。 「屋烏(おくう)」お零(こぼ)れを狙い屋根から動こうとしない烏(からす)の立場。幼い弟が元服する…

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しんちゃん
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怪しき上稚児

 木下昌輝の「応仁悪童伝」を読了した。著者は歴史・時代小説作家で、第92回オール讀物新人賞を受賞して作家デビューしている。本書は、心ならずも応仁の乱に巻き込まれ、命を賭して戦わざるを得なくなった少年達の姿を描いた時代小説である。  落書裁きで姉のお輪が殺人で有罪となったため、まだ子供だった一若は、お輪とともに河内の故郷から逃走するが、二人は野武士達に襲われる。お輪は一若を逃がし、公界である堺を目…

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藤井邦夫 の 一周忌-新・知らぬが半兵衛手控帖(12)

★3.3 新シリーズ12作目。 「長い一日」は半兵衛に投げ文があった。夜盗に巻き込まれそうな男を助けるため。半兵衛は己を知る娘と断定し、過去の事件を調べ始めた。辿りついた娘は4年前の事件の娘。音次郎もその事件を覚えていた。ということは新シリーズが始まって既に4年が経過しているということか。 「一周忌」は湯島天神で遭遇した喧嘩の3人組の若侍の顛末。「隠密廻り」は珍しく隠密廻りの黒木佑馬が登場。抜…

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矢野隆 の とんちき

帯封には〈ここは江戸の「トキワ荘」だ!!〉 江戸最強の出版人、蔦屋重三郎。そして、才能の開花を待つ、まだ何者でもない天才たち。葛飾北斎、滝沢馬琴、十返舎一九、東洲斎写楽の名が大書きされている。 物語は蔦屋重三郎の営む「耕書堂」が舞台の2年間の物語。時代は寛政の改革で財産半分の没収という罰を受けた2年後(1793年)のこと。山東京伝や喜多川歌麿は既に名をなし一本立ちしており、大田南畝などは既に足…

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辻堂魁 の 乱れ雲  風の市兵衛 弐

★3.3 第弐部8作目。 文政8年、市兵衛41歳のまま。今回は時勢を反映し江戸市中に致死率の高い流行風邪が蔓延。 市兵衛は1500石の旗本ながら金貸しをやっている笹山家の貸し金取立ての助役に雇われた。18歳の鬼渋の息子・良一郎は北町に無足見習いに出ている。 5千石の広川家に婿養子で入った男の賭場での借金問題と、良一郎が見習い仲間と酔って賭場で起こした騒ぎが故買商「備前屋」の悪事と繋がる。 …

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吉川永青 の ぜにざむらい

★3.3 戦国時代に蒲生氏郷、上杉景勝に仕えた実在の銭侍・岡左内定俊(さだとし)の生涯を描く。 若狭太良荘(たらのしょう)城を落ち、一人で生きていくことになった源八(後の左内)は敦賀の商人・高嶋屋久次から仕えるなら近江の蒲生賦秀(やすひで、後の氏郷)と言われ、向かった先は〈小牧長久手の戦い〉。 左内の特技は幼い頃に養った動物的ともいえる物の気配を読むこと。もうひとつは銭に対する異常なまでの執…

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天野純希 の もろびとの空 三木城合戦記

★3.3 別所氏の三木城落城譚といえばその凄惨さから、あまりに有名な話として伝えられている。若き女武者・波のこともよく知られている。秀吉の干し殺しの最後は、幼い子らを含め別所一族の死をもって立て籠もった領民、家臣の命が救われるのである。 物語は百姓の娘で米を得られることから女武者団に参加した加代と、女武者団を支える別所家家臣の蔭山伊織の眼で語られる。兵糧の尽きた地獄の毎日の末、波が武家の誇りを…

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閉塞した世の中を生きる

 青山文平の「江戸染まぬ」を読了した。著者は時代小説作家で、53歳でデビューし、史上2番目の67歳で2016年第154回直木賞を受賞している。本書は、江戸に生きる様々な人々の人生を描いた、時代小説の短編集である。  「つぎつぎ小袖」:貧乏旗本の奥方の「わたし」は、周囲からは大雑把であると言われていたが、七歳の長女のことだけは細かく心を砕いていた。江戸で疱瘡が流行り、娘を心配したわたしは、親戚の七…

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童門冬二 の 小説 秋月鶴山 上杉鷹山がもっとも尊敬した兄

★3.0 上杉鷹山の実兄で、高鍋藩第7代藩主・種茂の物語。「小説上杉鷹山」を心躍らせて読んだ者としては残念としかいいようがない。 高鍋藩が藩主・種美、種茂の時代にどうやって国を富ませたのか知りたかったのだが。九州高鍋の地に関する中身に全く触れていないのだ。どんな気候か、どんな地味なのか、どんな災害を警戒したか、領内の産業は、領民は何に困り、何に恵まれていたのか。何も語られない。表高2万7千石に…

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乙川優三郎 の むこうだんばら亭

★3.7 江戸の娼家を畳み、途中で拾った遊女上がりのたかを女将として、孝助は銚子の飯沼村で居酒屋「いなさ屋」を営む。裏の仕事は口入れ屋で、女たちに密かな稼ぎ口の世話をする。どのみち女衒を介して体を売ることになるなら、自ら体を売って急場を凌ぐ手伝いをしようと。人を殺してきた人間が仏像を彫るのに似ている。物語はグランドホテル方式の8つの連作短編で、いずれもこの孝助が絡んでいる。「突破ずれ」と言われる…

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中島久枝 の かなたの雲 日本橋牡丹堂菓子ばなし(七)

★3.4 シリーズ7作目。4つの連作。 今回の目玉は2つ。1つは小萩が鎌倉の実家に帰り、江戸でずっと働くことを決断し、両親もそれを許したこと。もう1つは姿を消していた伊佐の母親・安乃が医王寺に収容されたこと。 看病にたびたび出かける伊佐は心配する小萩に心を開こうとしない。伊佐に重く引っ掛かっているのは、母親は幼い自分を捨てて出て行ったのかということ。安乃の先が長くないと思った小萩はそれを確かめ…