「読書感想」の日記一覧

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じい散歩 [1]

 ~~~ 読書感想 ~~~ じい散歩 [1]  藤野千夜 評価 ☆☆☆☆ 老いと向き合う家族小説 明石家は夫婦あわせて、もうすぐ180歳。 3人の息子は全員独身で…。 一家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。 妻はそんな夫の浮気をしつこく疑っている。 長男は高校中退後、ずっと引きこもり。 次男は自称・長女のしっかり者。 末っ子は事業に失敗して借金まみれ。…… いろいろ…

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59  「推し、燃ゆ」宇佐美りん 芥川賞受賞 読書感想

芥川賞受賞という名に惹かれて、買った本。題名の、「推し」が良く分からないので、調べてみると、好きだけど届かない存在―アイドル・俳優とか、人に勧めたいほど好感を持っている人物の意。ファンが、強く憧れるアイドルと言ったところか。 英和辞典では、fanとは、愛好者、熱心な支持者とあるが、動詞の場合は、煽り立てる、扇動するの意味がある。fanaticとなると、狂信者とか、熱狂的な愛好者となる。推し-f…

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3番目『ローマから日本が見える』(塩野七生著)を読んで

『ローマから日本が見える』(塩野七生著)をやっと 読了した。かなり以前から読み始めたが、なかなか読了するまで行かなかった。それでも、とにかく、読了した。  勝者ゆえの混迷  スッラ改革の盲点とは  共和政にとっては最も忌むべき「個人プレー」の時代の幕開けでした。  「創造的天才」カエサル  終身独裁官  独裁官の在任中はローマの共和政が停止されるということに。 カエサルは独裁官に「…

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1番目『坊っちゃん』(夏目漱石作)の読書感想

『坊っちゃん』は、ぼっちゃんとヤマアラシの教員交流生活を描く ー僕は、夏目漱石の大ファンであり、『三四郎』『門』『明暗』『吾輩は猫である』は読了したが、この『坊っちゃん『』は読んでなかった。 たまたま、CDで解説を聴いて、読んでみようと思い読み始めた。だけど、それほど面白くはなかった。だけど、主人公の坊っちゃんを通して、漱石の陳情性格g思い浮かび、そこだけは面白かった。  「増給がいやだの、…

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どう思います? 不倫 『奇跡』を読んで

   ~~~ 読書感想 ~~~ 奇跡  林真理子  評価 ☆☆☆ 実名を出して本書が世に出るってすごいなぁ って思います。 それを認めた田原博子さん、 逆に言えばそれほどの純愛物語。 人を愛することの大切さ、強さ、美しさ... これほど愛し合えるパートナーと出会えた2人 は幸せな時を過ごしたんですね。 という感想を書くほど、私は初心ではないです。 この女性…

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74  「小伝抄」―星川清司 直木賞 平成2年版

小伝は、船宿の主、万五郎に拾われて育てられ、裕福な家に子供時代を過 した。竹本芝桝という義太夫の師匠のもとに通い、名を挙げたので、竹本小伝となった。役者の尾上菊五郎を見初め、恋仲になったが、捨てられ、その腹いせに役者の坂東三津五郎の妻を追い出し、後添えに入った。容色に勝るものがあったのであろうが、したたかでもあり、豪気な性格を持ってもいたようだ。その三津五郎が、女形の菊之丞と良い仲になった…

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49「銀河鉄道の父」 読書感想―2

 賢治は、妹トシを非常に大切にしていたようだ。トシが、更に進学し、東京の女子専門学校の進学し、寮生活をしていた。賢治の退職後、6ヵ月経ったころ、21歳のトシは結核となり、賢治は、東京での下宿先で看病に当たるが、やや回復した状況で、トシは、退学し、郷里へ戻り、療養生活を送るようになる。24歳の賢治は、人工宝石の仕事のプランを語り、トシは、兄に、作家になることを勧める。 トシは、それまでの成績が良…

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48 「銀河鉄道の父」門井慶喜 158回直木賞2017年  読書感想ーその1

 宮沢賢治の様子が分かると同時に、賢治の父が主人公でもある小説だった。 賢治の父、政次郎は、1874年(明治7年)岩手県の花巻村に生まれ、父親喜助が立て直した質屋の息子としてとして、育った。小学校では、優秀で花巻一の秀才と言われたが、喜助は、質屋には学問はいらない、という考えで、進学することはかなわなかった。小学校を終え、父の仕事を習い、やがて父親の片腕となり、家業を継いだ。 花巻の…

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41 「まひるの月を追いかけて」(恩田陸)2003年 読書感想

奈良を巡る旅を終えて、一休みしたところで、2019年に計画していた青森横断=津軽・下北半島の旅を実行してみようかという気持ちが起こってきた。しかし、コロナの第7次感染かともいわれるほど、日に日にコロナ感染者数が増加している。5月23日には、全国18510人の感染者数が、1か月半ほどで、昨日7月12日には、56011人の感染者数に増加した。また断念しなければならないかと思いながら、五所川原や、弘…

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23 「わが心のジェニファー」浅田次郎 読書感想 その1

なぜか、この読書には、時間がかかってしまった。スリルとか、推理を呼び込むような小説ではなく、「日本の紹介」といった小説だったからだろう。読んでみて、浅田作品の中では、異色の部類に入るのではないかと思った。 しかし、読み終わってみて、自分が日本人であるために、あまり、気づかない部分を気づかせてくれたような感じもする。 アメリカ人の青年ラリーが、恋人のジェニファーにプロポーズをしようとするが、その…

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3月に読んだ本(3月16日~3月31日)&雑感(背割堤の花見)

〇ステップ・アップ(単)119     柿本 多映   柿本さんの詠まれるちょっとシュールな世界が特に好き。 <人体に蝶の集まる涅槃かな>だったり<洞の木や蝶の骨など重なりて> だったり・・・。 俳句の賞をいろいろ受賞されているが、俳句の賞の中で最高の蛇笏賞も受賞されている。 この本は読むのは二回目である。 俳句入門だが、柿本さんの句も必ず一句添えてあるので、また読み直したくなって借りてしまっ…

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16  「浮世の画家」カズオ・イシグロ 読書感想

この本は、1986年に出版された。カズオ・イシグロは、1954年生まれだから、32才の時の作品である(書き始めは、26才とか)。カズオ・イシグロが、「遠い山なみの光」、「浮世の画家」、「日の名残り」の作品により、イギリスの文壇おいて、しっかりした地歩を築くことになった作品だという。 やや冗長のきらいがある作品であったが、舞台は、終戦直後の日本であり、1948年から話が始まるが、主人公の過去が問…

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8  「蒲公英草紙」常野物語 恩田陸

タンポポを漢字で書くと、「蒲公英」と書くのだと知った。副題に、「常野物語」と添えているのも、柳田国男の「遠野物語」を連想させるためなのだろう。 簡単に言ってしまえば、「蒲公英草紙」は、予知能力のある人たちがいる、ということを紹介したような小説だった。山に住む人たちは、神域があるのか、神との交流もあるように語られることが多い。木を切り倒すときも、祈りをささげ、鹿やクマなどの狩猟のときも、豊猟を祈…