「クラシック音楽」の日記一覧

会員以外にも公開

メンデルスゾーン/ 交響曲第3番「スコットランド」/ 交響曲第4番「イタリア」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年11月以来の鑑賞。 交響曲第3番「スコットランド」。 長大な序奏は仄暗く、低く雲がたれ込めているかのような陰鬱な気分だ。序奏から派生したような第1主題は、多少の激しさを伴うものの、気分は大きくは変わらない。第2主題は木管で奏でられるものの、第1主題との雰囲気の違いは少ない。クレンペラーの演奏では木管がよく響くという特徴がここでも聴くことができる。 休みなしに第2楽章へ。気分は一転する。…

会員以外にも公開

プロコフィエフの ピアノ協奏曲第3番 ・ラヴェルの ピアノ協奏曲ト長調 他をアルゲリッチのピアノで聴く

2020年2月以来の鑑賞。 アルゲリッチが最初にオーケストラと録音したもの。 当時26歳であったとことが解説書でわかる。 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番。 ダイナミズムに溢れる音楽は、アルゲリッチのピアノとの相性もよさそうだ。一方、抒情的な楽句においてもだ。息を飲むようなアルゲリッチのピアノの響きの美しさと技巧の幅の広さと豊かな表情がここにある。それらをサポートするアバドの指揮するオーケスト…

会員以外にも公開

ムソルグスキー /「はげ山の一夜」(オリジナル版) プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 他をテンシュテットの指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ムソルグスキー:「はげ山の一夜」(オリジナル版)。 一般的にはリムスキー・コルサコフの編曲によるものが演奏され、CDもこちらが流通している。自身も一般的な編曲のゲルギエフとデュトワの演奏を聴いている。テンシュテットはオリジナル版を選択したが、聴いていて粗野な感じがぬぐえないものの、こちらを好んだのだろう。 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番。 第1楽章を聴いていて、…

会員以外にも公開

プロコフィエフの 交響曲第1番「古典」・第5番をデュトワの指揮で聴く

交響曲第1番「古典」。 ジュリーニとゲルギエフの演奏で聴いてきた。前者は「展覧会の絵」の余白に収められていたLP。後者は交響曲全集からであり、当然第5番も聴いていた。ハイドンが生きていたら書いたであろう交響曲をプロコフィエフが書いたと伝えられている。 第1楽章の冒頭から、確かに作曲者の言による通りだと頷く。 第2楽章はラルゲット。「古典」的な趣が支配的だが、至る所にプロコフィエフが生きた時代なら…

会員以外にも公開

シベリウス の交響詩「フィンランディア」 「カレリア」組曲他をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。 交響詩「フィンランディア」。 シベリウスの代表作の一つ。カラヤンのLPで聴いたのが最初だった。ここでのバルビローリの演奏も素晴らしい。思わず涙腺が緩みそうになった。 「カレリア」組曲。「間奏曲」は堂々とした行進曲風の音楽。輝かしいトランペットの響きに導かれ、高揚感をもった展開を見せる。かすかに聞こえるタンバリンの音も好ましい。「バラード」は民族色漂う旋律で構成される…

会員以外にも公開

シベリウス の交響曲第7番 ・劇不随音楽「ペレアスとメリザンド」他をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。 交響曲第7番。 単一楽章による交響曲だが、4つの部分からなる。最初は、アダージョ。開始は幻想的でもあり、神秘的でもあるが、基底には夜明け前の冷気を思わせる厳しさがうかがえる。 ヴィヴァーチッシモは動きの多い音楽だ。うねるようなオーケストラの響きは、大地の自然のざわめきや大気の動きを思わせる。 アレグロに入るとスケールの大きな音楽はフィンランドの森や湖の美しい光景をイメ…

会員以外にも公開

ベーム指揮によるベートーヴェン の序曲集をLPで聴く

2017年8月以来の鑑賞。棚を見ると序曲集としてまとまったものは、ジンマン指揮のものと、テンシュテットのものだけしかなく、LPではこの1枚だけである。交響曲や協奏曲の余白に収められていることが多いため、序曲をまとめて聴く機会はあまりなかったように思う。このLPのA面はウィーン・フィル、B面はドレスデン国立管弦楽団によるものだ。今思うとなかなか粋な計らいともいえる。 「エグモント序曲」はウィーン・…

会員以外にも公開

バルビローリの指揮で聴くシベリウス 交響曲第3番・4番

2018年1月以来の鑑賞。 交響曲第3番。 何度となく聴いて感じられるのは、3番以降の曲はこれまでと趣が異なるということだ。第2番でのロマン的な気分、抒情的な雰囲気は少しはあるものの、曲全体の長さ、楽章の構成といい、簡潔さと濃度の高さが顕著になっているように思える。 第1楽章でも同じような旋律の楽句とリズムが繰り返されるが、音楽はむしろ純度と深みを増している。 第2楽章はアンダンテ。オーケストラ…

会員以外にも公開

マーラー の交響曲第9番をクレンペラーの指揮で聴く

愛聴盤のバーンスタインを含め、これまで幾つかの演奏を聴いてきたが、およそクレンペラーの演奏ほど深々としたものはないだろう。 第1楽章を聴き始めれば、内に秘めたクレンペラーのマーラーへの思いの一端が感じ取ることができる。虚飾や誇張を排した、そして甘美さのなさはクーベリック指揮の演奏に通じるものがある。厳しさと骨太のイメージはクレンペラーならではだ。ラストは「大地の歌」を想起させるものがある。 第2…

会員以外にも公開

クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲「大地の歌」

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタインのLP、ワルターのモノラル録音のCD、そしてこのクレンペラー盤が今でも印象に残る。 バーンスタイン盤は熱気にあふれ、ワルター盤はどこかに暖かみがあり、クレンペラー盤には厳しさがあるが、オーケストラも、歌手も指揮者も異なれば、聴いて抱く印象も違うのは当然だといえる。 この演奏におけるヴンダーリッヒは、声に張りがあり、伸びやかで鞭のようにしなるような、時には…

会員以外にも公開

シベリウスの 交響曲第2番・第6番をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。シベリウスの交響曲の中では聴く頻度が最も高い。愛聴盤はバーンスタインがウィーン・フィルを指揮したもの。ディヴィス盤も捨てがたい。 バルビローリの演奏は、文字通り端正で、色彩感があり美しい。第1楽章を聴いただけで十分満足できる。音楽に姿勢があるとすれば、その立ち姿もまた美しいだろうと思われる。 第2楽章は4つの楽章の中では最も好きなもの。劇的であるばかりではなく、ロマン的…

会員以外にも公開

マーラー の交響曲第7番 他をクレンペラーの指揮で聴く

2017年11月以来の鑑賞。 クレンペラー特有の悠揚迫らざテンポでだが、たるんだ感じがしない。冒頭のホルンの響きは力強く迫力がある。オーケストラの響きも分厚く、スケールの大きさを感じる。タンバリンの印象的な音もある。トランペットのファンファーレのような楽句に導かれるように音楽は清澄な世界を築き上げる。ヴァイオリンのソロ的な扱いや、ハープも後に加わる。再び冒頭の主題が現れ、堅牢ともいえる構えの音楽…

会員以外にも公開

バルビローリの指揮で聴くシベリウス 交響曲第1番・第5番

2018年1月以来の鑑賞。 シベリウス・コレクションというBoxから。よく見ると、COMPLETE SYMPHONIES & ORCHESTRAL WORKSとあった。つまり、交響曲全集でもあり、加えて管弦楽曲が全て納められているということだ。 交響曲第1番。冒頭のティンパニを伴うクラリネットのソロによる旋律は極めて印象深い。続く楽句は力強さと輝きを備えるが、やがて歌うような、なだらかな音楽が続…

会員以外にも公開

ベートーヴェン のピアノ協奏曲第1番をポリーニのピアノとヨッフムの指揮で聴く

2020年12月以来の鑑賞。 ポリーニのピアノで聴く。指揮者はヨッフム。というのもベームの死去により、1番と2番の収録が叶わなかったからで、ヨッフムはピンチヒッターといえるかもしれない。 第1楽章は思いの外テンポは速い。その結果、音楽に溌溂とした若々しさが感じられた。しかし、厚みがない。ベームの指揮であれば、趣がかなり違っていたであろうと思われる。この演奏はとりあえず音楽が進行しているだけという…

会員以外にも公開

マーラー の交響曲第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2012年5月以来の鑑賞。 この曲との最初の出会いはアバド/ウィーン・フィルによるLPであった。その後、バーンスタインをはじめ他の指揮者でもそれなりの数の演奏を聴いてきた。マーラーの交響曲の中では比較的演奏時間も短く、親しみやすいと言われるが、自身には聴いてみようという意欲を強く喚起する曲ではない。そうした中にあってクレンペラーの演奏は手に取ってみたいと思う三本の指に入るものだ。三指とはバーンス…

会員以外にも公開

ベートーヴェン のピアノ協奏曲第4番 をポリーニのピアノとベームの指揮で聴く

2023年2月以来の鑑賞。この曲もいくつかの演奏を聴いているがこのLPを聴いて、やはり物が違うという感じは否めない。ポリーニのしなやかで引き締まったピアノがまずは心に残る。親子ほどに年齢の違う二人の、相思相愛ともいえる音楽上での深い理解と共感がある。同じことはモーツァルトの協奏曲の演奏にも感じられたことでもある。ベームの指揮により、ウィーン・フィルもすっきりとした、そして柔らかい響きを存分に表出…

会員以外にも公開

クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲第2番「復活」

2018年12月以来の鑑賞。 バーンスタイン盤とともに愛聴盤だ。 第1楽章は長大だ。何度となく冒頭の主題が現れる。深い森の中を進んでいるようでもあり、死を予感させるようでもある。あるいは回想のようでも。激しさと優しさ、ロマン的な気分と拒絶的な気分が相克する。いずれにしてもクレンペラーの演奏には本物の香りがする第1楽章だ。 第2楽章のアンダンテはマーラーらしい美しさに満ちた主題で始まる。クレンペラ…

会員以外にも公開

ポリーニのピアノによるブラームスのピアノ協奏曲第2番をアバド指揮の演奏で聴く

昨年11月以来の鑑賞。 このLPは少し変わっていて、ジャケットの裏面はすべて外国語表記(英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語と思われる)だが、中に日本語表記の解説が一枚同梱されている。 演奏は、重厚でありつつ、ロマンの香りも立ち昇る。全体が4楽章であることも含め、協奏曲という範疇から少し踏み出し、ピアノを含む交響曲といった趣すらある。 第1楽章からすでにピアノとオーケストラの対話と呼応が鮮烈だ…

会員以外にも公開

クレンペラーの指揮で聴くフランクの 交響曲ニ短調 とシューマン の交響曲第1番「春」

2021年12月以来の鑑賞。 フランク/交響曲ニ短調。 クレンペラー指揮でこの曲が聴きたくてこのCDを購入したのはずいぶん前になる。因みにこのCDは現在、廃盤となっている。 第1楽章のレントからクレンペラーらしい骨太の演奏だ。主部に入ってもその傾向は変わらない。腰の据わった演奏は聴く者を惹きつけて止まない。カラヤン、ジュリーニと比較して各楽章共にわずかながらクレンペラーの演奏時間が短いことに驚い…

会員以外にも公開

ポリーニのピアノとベームの指揮で聴くブラームス ピアノ協奏曲第1番

2023年11月以来の鑑賞。 ゼルキン、アラウ、バレンボイム、ツィマーマンなどのピアノで聴いているが、この演奏を最も好む。ベーム、ポリーニ、ウィーン・フィルの組み合わせはいくつもあるが、そのいずれもが名演である。ベームの指揮は大上段に構えずともぬくもりがあり、しかもスケール感がある。ポリーニのピアノの響きは例によって透明感あふれるもので、オーケストラとの融合も非の打ち所がない。 第1楽章には指揮…