１８年句集「小鳥来る」１２月 年惜しむ（十二月） 平成の平和祈願や年惜しむ 反戦歌唄ひし昭和レノンの忌 晩年の希林を慕へりちゃんちゃんこ それぞれのいのちのかたち年忘れ 平成のいのちの詩や年惜しむ

１８年句集「小鳥来る」・１１月 旅心地（（十一月） 文化の日電池の切れし電子辞書 平成の足跡此処に七五三 小春日の球技回し旅心地 小六月ローカル線の一人旅 茶の花や古里恋し母恋し

句集「小鳥来る」１０月 鷹渡る（十月） 介護する仕合わせ此処に山粧ふ 余生には余生の花よ新松子 噴く山へ向かふ航路や鷹渡る 噴く山の山襞顕帰り花 新刊の句集の匂ひ秋燕忌

18年句・鳥来る・９月 小鳥来る（九月） この町は子らの古里小鳥来る 敬老日橋の袂の二人連れ シャンソンは君の十八番か初紅葉 山里の日替わりランチ賢治の忌 異国語の飛び交ふロビー鶏頭花

18年句集小鳥来る 広島忌（八月） Icanと声高らかに広島忌 源義と兜太の星や茄子の馬 平成の星の瞬き苧殻焚く 二親と夫は天上盆の風 園児らのジャズの音色や村祭り

句集小鳥来る・７月 扇風機（七月） 母の忌の朝の静けさ月見草 厨にはくりやの匂ひ扇風機 夕端居昭和の暮らし振り返る 身の丈の暮らしが目処ぞ朝曇 遠雷や単身赴任の夫思ふ

18年句集６月 青嵐（六月） 再読の「アンネの日記」濃紫陽花 復元の首里城仰ぐ沖縄忌 独り身の母のつぶやき父の日来 父の座の亡父と亡き夫桜の実 放置田の田の神様や青嵐

18年句集・５月新樹光 新樹光（五月） 古里へ続く青空新樹光 平成のキラキララネーム幟立つ アマリリス愚直に生きし夫の陰 ふるさとは限界集落麦の秋 病める子と二人の暮らし豆御飯

卯波立つ（四月） 四代目の僧は還暦花まつり 仰ぎ見る開聞岳や豆の花 武家門の続く町並楠若葉 源義の歩きし湖畔春惜しむ はらからは無名戦士や卯波立つ

チューリップ（三月） 閉校の子らの夢聴くチューリップ 鶴帰る特攻の地を後にして 原発の定期検査や山笑ふ 遥かなる終着駅や花筏 在りし日の大峯あきら春惜しむ

句集・小鳥来る（２０１８年）　 春ショール（二月） 高千穂の冠雪仰ぐ猫柳 亡き夫の誕生日なり麦を踏む まだ固き花の芽数多西行忌 愚かなるう吾も貰ひし春の風邪 初ショールばぬやうに歩きをり 　　　　

句集・小鳥来る（２０１８年）　　　　　 　　　　　　　　　　　　　 初メール（一月） 恙無く流るる河や去年今年 見下ろせる富士の冠雪初メール 母と子の今朝の一歩や初日記 ふるさとの土のかをりや根白草 天上の夫と愛犬冬すみれ