「光を読んで撮る」にはどうすればいいの？

風景写真の撮影で、朝夕の時刻にシャッターチャンスがあるといわれているのは、斜光線によって被写体に陰影が出て立体感が鮮明に浮き上がるからです。静物撮影や人物撮影で斜光線を選ぶことが多いのも、質感、材質感、皮膚感などの克明な描写が得られるからです。植物、花の撮影では斜光線とともに逆光線を効果的に利用して撮ることが多いです。
しかし、カメラの露出計が設定したデータが必ずしも全ての写真の適性露出であるとは限らないように、被写体に適した光の定石はあっても、「光の読み方」にはこうでなければいけないという決まりはありません。撮影技法的には最適の光で撮ってもいても、写真としての魅力が薄いというケースもあるのです。
「光を読んで撮る」ということは、「被写体に適した光」を理解した上でさらに自分の目で光を読みとって発見することです、

「光を読んで撮る」という言い方は昔から言われてきたことです。
今日のデジタルカメラ時代の光の読み方は、かっての「光の読み方」とは微妙な違いがあるのではないかと思います。
かって写真といえばフィルムのモノクロ写真が中心で「光の読み方」には引き伸ばしで印画紙へ露光する光の ” 読み ” も含まれていました。撮影で光をとらえ、フィルム現像で光を再現し、引伸ばしでもう一つの光をつくりだす、という流れの全てが「光を読んで撮る」ことだったのです。

写真制作工程にフィルム現像と引伸ばしがなくなったデジタル時代の今日では、「光を読んで撮る」を「光を感じて撮る」と言い換えたほうがいいのかもしれません。
「写真を撮る」ことは、「光を読んで撮る」ことなのですから、あらゆる光をクリアーに写しとることができてしまうデジタルカメラの時代であればこそ、写真の質、光の本質を読み取る「目の感性」をシャープにすることが大切だと思います。

現在のカメラは、撮影モードをオートにすればピントは瞬時に合い、新緑の樹木も紺碧の青空もカメラまかせできちんと写ります。しかし被写体がきれいに写っているだけでは作品としては物足りません。レンズを通った光が結ぶ像が写真ですから、撮影ではまず光の質を理解しなければなりません。

写真撮影の光は、自然光、人工光、順光、斜光、逆光、直射光、間接光などに分類されますが、例えば自然光は時間、天候、季節などによって微妙に変化します。
光が変わると写り具合が変わるだけでなく写真の表現内容も違ってきますから、被写体をより強調するにはどのような光で撮るか、つまり『光を読んで撮る』ことが写真撮影のキーポイントとなります。