私も自営業でした。自営業と言うのは孤独なもので、誰かに指示されてやるわけでもないし、上司もいません。自分の仕事を自分の考えで広げたり狭めたり出来る自由業なのです。ですから自分で現状を判断し、先を予測して行動しなければいけません。家族、従業員のことを思うと責任は重大です。
しかし自営業の特権として、いつでも事業を辞める事が出来ます。経済的な後ろ盾が出来れば、いつでも辞めて自由になれるのです。ひとりだけでやる事業もあれば、大勢の人の手を借りてやる事業もありますが、自営業に変わりはありません。自己責任、自己管理、自己防衛の三原則が鉄則です。あなたのご主人も、きっと同じように考えておられると思います。
これまでの浮沈を思い返せば、それこそ一冊の本が書けるほどいろいろあったと思います。飛ぶ鳥を落とすような隆盛期もあれば、今のような衰退期もあります。それを思うと落ち込むのは当然のことです。後継者がいても、必ず上手くやれるものでもありません。それはそれなりの辛苦があると思います。私も長男がいましたが、後を継がせる気持ちはなく自由にさせました。
一番の協力者である家内を、安穏とした環境から年中無休の事業に引っ張り込んでしまい、一番の苦労をかけてしまったんです。その事はずーっと気になっていて、ある日「仕事を辞めよう」と提案してみました。ビックリして、どこか具合が悪いのか?とか、何かあったのかと尋ねます。辞めて二人で遊ぼう!これまで全力疾走してきたから休もう!と言いました。そのままずーっと年中日曜日になっています。
仕事人間だった私が、急に立ち止まってしまったので、一年ほど退屈でつまらないと思いましたが、徐々にリズムが出来てきて、いまの生活に慣れてきました。と言うより昔のように働けなくなったと思います。でも考えてみれば、人は働くために生きているのではなく、人生を楽しむために生きているんです。好きなように生きればいいんです。残り少ない人生を、出来るだけ長く楽しく過ごしたいと考えるようになりました。