夕映えの桜に遥か物思う



 水あれば水に反りたる夕桜   栗栖恵通子 

 木綿から絹に着替へて夕桜   村田冨美子

 音もなく雲か霞か夕桜 落合絹代

 夕桜ベンチ一つの無人駅 内山巳代子

 夕桜仄か明るむ外庭に  アロマ

 はるか来し初瀬の山の夕桜  橋本光子

 空揺する風の立ちそめ夕桜   宿谷晃弘

 渋滞の街道並木夕桜 高木智

 移り行く雲に日のある夕桜  渡邉孝彦

 夕桜二階の部屋に眺めいて  アロマ

 城山に惹かれさまよふ夕桜  渡部良子

 夕桜一切の音封じをる 近藤紀子

 ジャスミンティーの夕べ桜見る  アロマ 

 夕桜ほぐれゆくもの身に添