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よくあるご質問

第2位 Out To Lunch

第2位 は Out To Lunch である。アメリカにおけるドルフィー最後のリーダー・アルバムで、アルフレッド・ライオンがプロデュースし、ブルーノート・レーベルに吹き込まれたことが重要だ。あのリハーサルにも金を払うというブルーノートから、ついにドルフィーに声がかかったのだ。第二作の話もあったという。しかし、欧州に永住を決意していたドルフィーには、時すでに遅かった。

Out To Lunch はドルフィー乾坤一擲の作品で、ドルフィーの最高到達点となるアルバムである。よっさんはドルフィーの残したレコードの中で一番好きなアルバムである。このコミュニティーのタイトルに拝借しているほどだ。しかし、 Out To Lunch は永遠に第2位の立ち位置のアルバムである。第2位の理由は後で述べる。

アルフレッド・ライオンはジャズを芸術と考えている。作品は1950〜60年代の「黄金のモダン・ジャズ時代」をカバーしており、ハード・バップや新主流派の名盤が並ぶ。ブルーノートはファンキーなアルバムで経営基盤をささえながら、セシル・テイラーやオーネット・コールマンのような前衛ジャズ・ミュージシャンにも録音のチャンスを与えた。そのブルーノートにあっても、ドルフィーの Out To Lunch は異彩を放っている。

ドルフィーのスタイルは「黄金のモダン・ジャズ時代」にあって、ハード・バップ、モード・ジャズ、フリー・ジャズのいずれにも属しない。「ドルフィー・ジャズ」は前衛音楽かといえば、そうではないとよっさんは考える。ドルフィーは根っからのフリー・ジャズ奏者を一瞬に黙らせるほど、十分アバンギャルドなのだが、それほどジャズの概念から逸脱することなく、調性音楽の世界にとどまっている。フレーム・ワークはむしろ伝統的なモダン・ジャズを踏襲していて、オリジナル曲の作風は「ポスト・ビ・バップ」と呼びたいくらいある。

Out To Lunch はドルフィーがリーダーに違いないが、集められたメンバー個々の素晴らしい即興演奏と調和で成立している。初めての共演となるトニー・ウイリアムスの自由自在なリズムが重要だ。変拍子でありながら、自然なビートを紡ぎだしている。ピアノレス・カルテットというのもちょっと新しい。ホーン奏者はコードの呪縛から解放され自由になれる。ボビー・ハッチャーソンのビブラフォーンはパーカッシブで、トニー・ウイリアムスとともに音場を広げている。信頼のリチャード・デイビスのベースも音楽の底を支えるというよりも、ホーン奏者と対等の役割だ。フレディー・ハバードはドルフィーの全キャリアをカバーしたトランペッターで、ドルフィーに近い自由だが伝統的スタイルだ。

さて、ドルフィーがブルーノートに残した Out To Lunch は永遠に第2位の位置にある。それは Last Date が第1位として存在するからではなく、アルフレッド・ライオンが計画していたブルーノート第二作目こそドルフィーの最高作になったはずだからである。Out To Lunch はドルフィーのもっとも完成度が高い作品だが、名盤のもつエンターテイメントさは皆無だ。どこか実験的でプロトタイプ的な気高さ、冷徹さを感じさせる。そこが、一般的なモダン・ジャズ・ファンには Out To Lunch が、さほど人気がない所以と思われる。

Out To Lunch は、一度聴いたくらいで好きにはなれる作品ではない。ちょっとドルフィーを聴いてみようと思うジャズ・ファンには薦められないアルバムだ。よっさんも10回、100回と聴いて、好きになっていった。聴くたび新しい発見があり、この録音時の5人の真剣勝負の凄さに、いまでもわくわくさせられる。

近年東芝から限定版で発売された TOC-9079 24bit by RVG(ルディー・ヴァン・ゲルダーによる24ビット・デジタル・リマスタリング)の音は本当に素晴らしい。至福の43分間はあっという間に過ぎて行く。フランシス・ウルフのジャケット写真が秀逸だ。


■Out To Lunch! Eric Dolphy

Blue Note BNST-84163
1964.2.25

TOC-9079 Digitally remastered by Rudy Van Gelder

Eric Dolphy (as,bcl,fl)
Freddie Hubbard (tp)
Bobby Hutcherson (vib)
Richard Davis (b)
Anthony Williams (ds)

01.Hat And Beard
02.Something Sweet Something Tender
03.Gazzelloni
04.Out To Lunch
05.Straight Up And Down

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