映画「たそがれの維納(ウィーン)」(1934年オーストリア)~薫り立つ魅惑のエレガンス~

これはとても素敵なオーストリア産のロマンスものである。監督のヴィリ・フォルストと言う人は声楽家志望だったとの事で、劇中出てくる楽団は何とウィーン・フィル!奏でられる音楽もしかりと言う凝り方。すべてに関して趣味の良さ、審美眼の鋭さ、品の良い遊び心に満ちた映像と台詞回しなどなど・・この映画の魅力については語り尽くせないものがありそうな気がする。

見終わったあと「いつまでも醒めないで欲しかった夢なのに・・・」とそんな風に思えるような、見事としか言いようがない作品である。この時一命をとりとめた画家ハイデネク役の美丈夫アドルフ(アントン)・ウォルブリュックが逞し