いないのよね

水仙が香り
麦の穂が夏風にゆれて
立夏の日

父が
まだ生きているような気がする
そんな気がして
洗濯ものに目をやる
父のものは無い

田んぼの水に映った私の顔
そして
不覚にも水に落とした涙は
意地っ張り涙

父がいなくて辛くはないよ。
あんなに仲が悪かった
はずなのだから

体中がだるくて
何もする気がない
そんな私

やっぱり寂しくて
たまらない
素直になれない私

親子なんだ