十三夜

涼しくなってきたね
と会話をしながら
ガラス越しに見る十三夜の月
迷い込んできたコオロギが
二人の会話を遮る

母と二人
母の太くなって皺だらけの手で作った
団子をほおばる
これがおふくろの味

母は私が戻ってきてくれて
「嬉しい。産んでよかったよ」
とポツリと一言
本音だろうなぁ。

口減らしで父の所に嫁ぎ
私を身ごもり我慢をした。
と口癖のように言っていた

きっと月夜に
泣いていたのだろうなぁ
母が不憫でならない
聞こえないふりをして
父が可愛がっていた猫を抱きよせ
猫の毛で涙を拭いた