演舞場6月「香華」

永らく山田五十鈴の独壇場だった有吉佐和子原作「香華」を今度は池畑慎之助が挑戦した。
アクセントの付け方、身のこなし、母性の表現など当然現代の女形としての独自性があり興味深い観劇になった。
初演台本での上演から偶然観ているので、喜劇と銘打った脚本との比較(有吉のセンスに脱帽)も面白く周囲の名演技も色々思い出す。一ノ宮あつ子、曾我廼家鶴蝶、先代中車、御橋公、有島一郎等が思い出される。今回の殊勲賞はB作の八らんで物悲しい男の純愛をペーソス一杯に演じた。小泉、青柳、立松、森本、小山、只野の新派勢が夫々存在を示した。