文化座「稲葉小僧」アトリエ

69年ぶり再演という文化座「稲葉小僧」という三好十郎戯曲を観た。戦後すぐ上海帰りの男が場末の医院に昔の女を訪ねてくるのが発端で、登場人物の戦時中の経歴は会話以外に説明されていないが、舞台背景に色濃く戦争が影を落としている。
たまたま再会した昔の女の子供を輸血で救って、主人公の男が自分に自信をもって再起する気になる展開は実に清々しい後味の芝居になった。
好調の若手俳優「藤原章寛」がその稲葉小六をナイーブに演じて存在を示し、佐藤哲也、小谷佳加、白幡大介等が適材適所で良い演技で支える。若手女優の長束直子、姫地実加、高橋未央もアトリエ公演らしい繊細な演技を見せて