~PAUSE~ 『10月の特選ミステリー』(其の2)

◆ マイクル・コナリー『転落の街』上・下
     (古沢嘉通 訳)講談社文庫/各800円

 シリーズ作というのは、多くの場合、巻を重ねるごとに作品の質も人気も落ちてくるものだが、まれに例外もある。92年の第一作『ナイト・ホークス』から続くマイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズもそのひとつだろう。

 今回の『転落の街』にしても、衰えを見せるどころか、全編が緊張と興奮の連続で、ますます面白みを増している。

 ロス市警未解決事件班に復帰したボッシュは、22年前の女性絞殺事件を担当していたが、そんなおり市議の息子がホテルから転落死したとの知らせが