見田宗介『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』(岩波新書、1996年)

見田さんが亡くなった。84歳とのこと。
もちろん私は全然面識はないが、その著作は何冊か読ませていただいた。

社会というものの編成原理の変遷を理論化した『現代社会の存立構造』、そのものずばりのタイトルの『人間解放の理論のために』、新聞の人生相談に題材をとって社会学の論文に仕上げた『現代における不幸の諸類型』、宮沢賢治に関する評論『宮沢賢治―存在の祭りの中へ』などなど、それのどれもが面白かった。専門の社会学にとどまらず、哲学や文学にも造詣が深い方だった。その著作はマクロの社会理論からミクロの人間の心まで横断して、わたしにとってすごく刺激的な文章だった。