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ブルシット・ジョブ(つづき)
読んでいて面白いと思うことの一つは、職業における社会的有用性と報酬の乖離である。それぞれの職業が社会全体に対してどれほどの量の社会的便益を追加しているかのアメリカの調査結果である。それによれば、最も価値を作り上げているのは医療研究者であり、彼らは1ドルの給料につき...
デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』(原著2018)
図書館にリクエストから1年くらいたってようやくわたしの番が回ってきた。人気の新しい本を図書館から借りて読もうとすれば、どうしてもこうならざるを得ない。仕方がないのだが、ここまで待たされると、読もうとした時のモチベーションが分からなくなって、妙に縁遠いように思い、下...
竹西寛子『管絃祭』(1978年/講談社文芸文庫)
斉藤美奈子さんがヒロシマを主題とした小説のとして、大田洋子『屍の街』とともにこの本を紹介していた。『屍の街』の方はタッチの差で借りられてしまっていたので、こちらにした。斉藤さんの紹介文が良かったし、この時期原爆や戦争に関連した小説を読むのもいいかなと思って。 竹...
最近読んで面白かった小説を紹介します
芥川賞候補作が発表されて以来、掲載誌を図書館で借りて、全部ではないが、幾つか読んだが、なんとなくイマイチだなと思った。特別に取り上げて云々するには及ばないというか。掲載誌には芥川賞関係の作家ではない作家の作品も当然載っているので、適当にみつくろって読んでみたが、そ...
枕草子を読んだ感想の感想の感想
酒井順子さんの現代語訳で読み、そのあと原文に当たってみたが、やはり手ごわかった。岩波文庫の枕草子のような、幾つかの言葉の欄外注書きくらいでは到底読み進めないのであった。図書館であれこれ探して一番いいと思ったのは、講談社学術文庫の、上坂信男・神作光一訳注『枕草子(上...
見田宗介『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』(岩波新書、1996年)
見田さんが亡くなった。84歳とのこと。 もちろん私は全然面識はないが、その著作は何冊か読ませていただいた。 社会というものの編成原理の変遷を理論化した『現代社会の存立構造』、そのものずばりのタイトルの『人間解放の理論のために』、新聞の人生相談に題材をとって社会学...
古典文学を読んでみる・その3(伊勢物語)続き
以上、ある男が身分の高い女に恋をして、駆け落ちしようとしたが失敗し、都落ちするという話しである。これをある架空の人間を主人公とした単なる物語として読むということが、伊勢物語を読むということなのではないか。何の知識も無くて伊勢物語に初挑戦する人はこういう読み方をする...
古典文学を読んでみる・その3(伊勢物語)
伊勢物語。高校の時古文の授業でかきつばたとか、都鳥とかが出てきたような記憶がある。眼鏡をかけた女性の先生だった。授業の内容は全く覚えていない。ぼんやりしていたのだろう。多分関心のかけらもなかったのではないか。50年ぶりの伊勢物語だがほとんど初読といってよい。 こ...
島口大樹「オン・ザ・プラネット」(『群像』12月号)
去年の年末から芥川賞の候補作を、図書館で借りられるものに限ってだが、読んでいる。何というか、古典文学や太宰から離れて、少し新しいものを読んでみたかったから。 第166回芥川賞の候補作は以下の5作品である。 石田夏穂「我が友、スミス」 九段理江「Schoolg...
古典文学を読んでみる・その2
「百人一首」に引き続いて今回は「古今和歌集」を読んでみた。「百人一首」には古今和歌集からも幾つか採られているので、重なる部分も多い。 「古今和歌集」も本棚にあった。高田祐彦訳注『古今和歌集』(角川ソフィア文庫、2009年)である。古今和歌集関係の本を見たり読んだ...
北山茂夫『日本の歴史4 平安京』(中公文庫)
中央公論社から1965年から67年にかけて刊行された『日本の歴史』全26巻がもとで、1973年から74年に文庫本として発刊されたシリーズの一つ。 大学浪人と大学1年生に当たっている。浪人時代だったか、翌年の大学生になったばかりか定かではないが、田舎のステーション...
小池昌代訳「百人一首」
古文は苦手だった。読んでもよく分からない。同じ日本語なのにどうして?という疑問というかもどかしさというか、とにかく苦手だった。成績もよくなかった。現代文の方は勉強しなくてもそこそこの点数は取れるのに、古文は全然ダメだった。興味もなかった。 そのままの状態で今まで...
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