平野啓一郎『本心』(2021年)

図書館に予約してから2,3か月がたってようやく回ってきた。
平野啓一郎は前作『ある男』(2018年)も面白かったし、その前の映画化もされた『マチネの終わりに』(2016年)も非常に面白かったので、読む前から期待値は高かった。
そう思って読むと、期待したほどではなかったと思うことが多いので、なんとなく恐る恐る読み始めた。

文体は簡潔。ワンセンテンスは長くないし、例えば村上春樹のあのしゃれた比喩表現がない分、わたしには読みやすい。ストーリーも次はどうなるんだろうと興味を尽きさせない。ただ、さらっとは読んではいけない。所々で立ち止まり、何かを思い出し、一息を