(続き)

この本は、もちろん枕草子と源氏物語に関連するだけの本ではない。
西暦で言えば、960年ごろから1060年ごろまでの日本の姿を描いている。全500ページ余り。60年以上も前の本だが、2022年の今読んでも色あせなかった。アクチャルでビビッドだった。

紹介文にもあるように、この本の大きな柱は藤原道長が頂点に立つまでの軌跡である。道長個人を超えて何代か前からの藤原一族の動きを描き、その集大成が道長による摂関政治の完成である。権力掌握には強引に武力を使ってということではなく、うまくからめ手を使ってというか周辺からジワリとこうせざるをえなくするその政治力の高さが