《辰巳・枝川レポ》雨に濡れた昭和の遺構

 昭和初期の東京湾岸には工場、倉庫、ごみ処理場などが集中していました。空気も海も汚れ、お世辞にも「生活環境が良い」などと言えるような場所ではありませんでした。それがいつのころからか《埋立地》が《ベイエリア》という耳障りの良いワードに変換され、タワマンが林立した町は現代的な姿に変わりました。今や人気のエリアとなった東雲や豊洲はその典型的な例です。
 しかし、高層住宅の足元には旧態のまま残る建物や構造物が存在しています。辰巳のマンモス団地、枝川の簡易住宅、貨物列車の廃線路と鉄橋……。それらの姿を間近にすると感傷的な気持ちになるのはなぜでしょうか。
 きっと、