上代日本語に於ける『の』と『ぬ』の問題


今回は少々ニッチな話題ですが、上代日本語における『の』と『ぬ』について、考えてみたいと思います。
私がこの問題に気付いたのは、万葉集第20巻の以下の歌からです。

原文:知波乃奴乃 古乃弖加之波能 保々麻例等 阿夜尓加奈之美 於枳弖他加枳奴
かな:ちばのぬの このてかしはの ほほまれど あやにかなしみ おきてたがきぬ
訓読:千葉の野の 児の手柏の   ほほまれど あやに愛しみ  置きて誰が来ぬ

ここでは、「千葉の野」に「知波乃奴」と言う万葉仮名を充てています。ここから考えられることは、下記の2点のいずれかではないかと思います。

現代の『奴』は、古代