掌篇小説倶楽部

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短編よりももっともっと短い
物語を書いてみませんか?
例えばこんな作品

『冬至の翌日』 ペコちゃん作
   
ほら、支度して。銭湯行くよ。

ママ、昨日柚子湯に入ったばかりなのに、今日も銭湯?

そう思いながらも銭湯に到着、女湯と書いてある引き戸を開けると、

あ!バナナの匂い!

今日はバナナ湯だって言うから、来てみちゃった。いい香りね。

お母さんが、鼻をくんくんしながら、番台に座ってるおばさんにお金を払う。

番台のおばさんが、

今日も寒いから、しっかり温まっていってね。

と言って、私にお釣りを手渡してくれた。

服を脱いで中に入ると、浴室はムッとするようなバナナの香り。そして、湯船の底にバナナが沈んでいた。お母さんが

あらあら、柚子はぷかぷか浮かぶけど、バナナはしずんじゃうのね。初めて知ったわ。

と、感心して言った。

それにしても、バナナってこんなに香るものなのかな?

そう私が呟くと、隣にいたおばあちゃんが

入浴剤足してるみたいだよ。

そう言ってニヤリと笑い、私が

なんだ。言われてみると、確かにちょっとわざとらしい匂いよね。

と言い、お母さんと3人でゲラゲラ笑った。

帰り支度も整い、番台のおばさんにおやすみなさいの挨拶をしたら、

これ、どうぞ。

そう言いながら、おばさんが番台からにゅーっと腕をのばして、私達に割り箸が刺さったバナナを手渡してくれた。

あら、懐かしい!小さい頃、よく食べたわ。

わー、冷たい。

まるでアイスキャンディーのように冷たいバナナ。お風呂で少し逆上せ気味の身体をキュッと
引き締めてくれる。

私とお母さんがバナナを咥えながら、引き戸を開けると、

おやすみなさい。また来年もやるから、楽しみにしてね。

おばさんが番台から声をかけてき。私は咄嗟に

たにょしゅみにしゅてましゅね。

と、バナナを口に入れたまま返事をしてしまった。すると男湯側の方で、クスッと笑う声が聞こえた。声の方に目を遣ると、同じクラスのちょっと気になる男子が、こちらを見ながら笑っていた。

(了)


簡単でしょ?(笑)

作品は『物語』であること。
文字制限は1500文字以内といたします。

みなさんの作品、お待ちしています。

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