青磁姫

 2030年、ある科学者が、ヒトの細胞内に葉緑体を取り込むことに成功いたしましたの。不思議なことに、XY遺伝子の卵は増殖いたしますのに、XX遺伝子の卵は増殖いたしませんでしたの。その中でようやく一つだけ成功いたしましのが、わたくしでございますわ。物心付いたころから、わたくしは緑の肌を見るのがとても嫌でしたの。それでいつもお部屋に閉じこもっておりましたのよ。おかげで、わたくしの肌は薄緑色になりましたの。皆様はそんなわたくしのことを”青磁姫”とお呼びになったのでございます。
 葉緑体は、DNAに記憶されて次の世代に受け継がれるものではございませんでしょ。細胞