この頃、公衆電話が急速になくなった。
そうなると妙に懐かしい。
嫁いでから、毎日実家に電話する事も
はばまれた。
その頃は用事もないのに電話するなんて
無駄の骨頂だったのだ。
私は、毎日夕飯のお買い物に出かけた時
必ず公衆電話から両親に電話をした。
「元気?」
「快調。快調。」
短い会話だったが、私がいないと生きては行け
ないとこぼしていた父の事が気がかりだったのだ。
一年近く公衆電話での会話は続いた。
父は、我慢していつも元気な振りをしていたのだ。
どうして気付いてあげられなかったのだろう。
父は、