「髪にさわらせてもらえませんか・・・」

仕事に行くのに市バスと地下鉄を利用している。
市バス、地下鉄、そして、またバスに乗る。
名古屋の郊外、田舎に音楽大学があり、
その近くに私の仕事場がある。

今日も午後3時ごろ、バスに乗った。
始発なので、好きな席に座ることができる。
一人席に座ったら、後ろから声がした。

「すみません・・・髪に触らせてもらえませんか?」

「はい、え?」

ふりかえると、高齢の女性だった。

「きれいな黒髪、珍しくて嬉しくて・・・ちょっとだけ触らせてください」

「え〜、そうですか・・・良かったらどうぞ」

後ろの席から高齢の女性に髪を触られる、
なんとも不思議な感覚