季巡り短歌 秋 その2

野分の風が肌寒い朝です。


   「台風」

あれやこれ胸騒ぎして閉ぢ籠る暗き部屋々々台風を待つ

台風が屋根をどどつと撃つ中に 蝉の一声深夜にありぬ

大風の雨戸揺らすに家の無き人等の濡れていづこにぞいる ==ホームレスの青年

暗雲のまたかかり来と吐息すも花の輝き大風に克つ ==甦るハイビスカス

黒雲を薙ぎつつ青と白雲の速度をまして輝く侵攻

歌はねば消えていくのみ刻々の千切れ雲さん切り取りますよ



   「秋彼岸の思い」

ひとつ咲き二つ目が咲く翌日に紅濃くちぢむ 隣りの白さ ==酔芙蓉 不思議な咲き方

盂蘭盆会みな仏ゆえ恨みなく集へる笑