お昼前になって玄関前が騒がしい。
どうやら隣の借家の庭で誰かが仕事を始めたようだ。
家内が様子を見に出たら、すぐに帰って来た。
「お父さん!ちょっとちょっと・・・。」
何か手伝うことでもあるかのかと玄関に出て見た。
借家に住む娘のお母さんが高枝鋏を持って格闘をしている。
「途中までは採ったけど高い所が取れなくって・・・。」
「じゃあ私が取りましょうか?」
脚立を持って行き、高枝鋏を預かるが鋏が錆びて動かない。
「これでどうやって採ったの?」
「反対にして柄の方でもぎったの!」
高い所の柿も全部採り、一番上の実は布施柿にして残した。