盧舎那仏の鋳造そして、天平文化。…大伴家持の生涯(29)

「大君の仰せに従って、山越え坂道を越えてやっと、鄙のこの国に来たのに、ひどい大病にかかって倒れ込んでしまうとは…」
 という悲傷きわまる長歌と、次のような短歌を詠む家持でした。

・ 世間(ヨノナカ)は 数なきものか 春花の 散りのまが   ひに 死ぬべき思へば  巻17・3963  大伴家持

 〜 人の世というものは、何とつまらぬものか、春の花が散りまがうように、儚く私も死ぬのであろうか。

 弟、書持の死からまだ半年のことであり、家持の脳裏には、先年おきた、藤原四兄弟が病気で次々に死んだ怖い事件が、浮かんでは消えるのでした。
 夢の中に出てきて父の