備忘録 で済ますには危ない話

それはきのうのこと。
 暑い秋の日である。

 ドイツ旅行を無事に終えた夫は、予想以上の元気さで、その後襲われた予想外の手続きトラブルにも耐えつづけ、ついに私に命令を下した。封筒をひとつ航空便で郵便局から出すように。
 その際に、200円か110円かでいつものように不毛な水掛け論となったが、3分で私はそれを切り上げ、リュックを背負って昼過ぎのまぶしい日の下へ飛び出した。
 ここでは何も不吉なことは起こらず、私の110円説が正しく、ついでに病院で夫のワルファリン(血液を薄める薬)の検査値をたずねるために、一時間以上無駄に待ち、計画通り柿やりんごを買った。