とん ことり
筒井頼子さく 林明子え
わたしは時々、自分の本棚から、お気に入りの童話を取り出して、大切なことに気づかせてくれたことを思い出します。わたしの、とっておきの えほん です。
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とん ことり
良い訪れの音だ。誰も知るはずのない、かなえに届けられたちいさな スミレの花束。
引っ越しした知らない町には、春の花が咲いているのだ。
寄る辺のなさ、初めての町には新しいこと、知らないことばかり。
小さな音、ちいさな スミレの花束。
扉を開けても、玄関のドアの向こうにも知らない人たち。
忙し