高橋文二先生と行く熊野 其の三

熊野九十九王子のひとつ、八上王子は西行法師が歌を詠んだことでも知られている。桜をこよなく愛した西行らしい一首 
 彼の私家集である山家集に
”熊野へまゐりけるに、八上の王子の花おもしろかりければ、やしろに書きつけける”の詞書きのあと
”まちきつる やがみのさくらさきにけりあらくおろすな三栖の山かぜ”とある。
  西行の生涯を描いた『西行物語絵巻』にも八上王子の社殿の瑞垣に歌を書き付ける場面が描かれている。もちろんこの頃の桜は、ソメイヨシノではなく、ヤマザクラ。
 住民も信仰があつく、今は八上神社として産土社となり社叢も保護されている。ご多分に漏れず