世界一住みたくない町(1)

約半世紀の間、世界の町をうろうろしたが、この町ほど不快な町はなかった。

住んだのは半年あまりだったが、このグアヤキルという町ほど住んで不快な思いをした町はない。

飛行機の上から見える市街地は泥色の川の中、その向こうに見える太平洋もまた泥色、空港に降り立ってみると出迎えた人間もほとんどが泥色に近いチョコレート色であったが、チョコレートの原料カカオがここで栽培されているのを知ったのはずっと後だ。

当時の人口は60万人だったが、50年後の今では三百万、いつの間にそんなに増えたのかと首をかしげるほどだが、増えた人間といってもチョコレート色の人間ばかりが増え